2015年12月4日金曜日

Youtubeを始め動画サービス利用の際のセキュリティ対策とは〜著作権を考察する

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ドローンや4K(すぐに8K?)テレビなど、映像技術の進化はめざましいものがあります。
最近はそれに加えて、立体映像の技術や通信速度の改善も進んでおり、みなさんもYoutubeなどで動画を楽しまれることが多いと思います。

例えば、Youtubeだとひとつ動画を見たあとで別のオススメ動画が表示されるので、ずっと見てしまうこともあります。
ランダムに表示されるだけでなく、「チャンネル」としてテーマ性を持ったいくつかの動画をまとめた「チャンネル」を作っている人もいます。
そして、(すべてではないですが)Youtubeは広告収入が制作者に入るようになっていることもあって、動画を見る側、作る側双方が盛り上がっているようです。

動画コンテンツは、多くのコンテンツの中で比較的「著作権」にシビアだと言えるのではないか、そう感じられている方も多いのではないでしょうか。
動画のコンテンツでは、基本的に制作者が著作権を有するものですし、コンテンツの中に楽曲などが使われていれば、楽曲にも著作権が発生します。
サイトにアップロードされた後でもそれをシェアしたりする場合の方法によっても許諾や権利の確認が必要なことが多くあります。

そこで、今回は、Youtubeを例にとり、
「Youtube動画を見る場合」
「Youtube動画をダウンロードする場合」
「Youtube動画をシェアする場合」
「Youtubeに動画をアップロードする場合」
について著作権がどのようになるのかを書いてみます。


■Youtube動画を見る場合の著作権

Youtubeの動画を閲覧する場合、アップロードされている動画を見る時は、見る側は特に著作権を侵害しません
テレビ番組の録画を第三者がアップロードしていたりすれば違法アップロード動画の可能性が高いのですが、他者の権利を侵害している状態の動画を見る時も、見るだけであれば法律的には問題ありません。

Youtubeの配信形式は「ストリーミング」でありながら、実は「プログレッシブダウンロード」と言われる擬似ストリーミング形式となっています。動画が実ファイルとしてダウンロードされているわけでないのですが、キャッシュ(一時的にデータをためる場所)にデータが保存される形になり、解釈の違いでこれが「ダウンロード」と判断される可能性もあります。

●関連記事:過去記事で、以下の裏技を紹介していました 「YouTubeで視聴した動画の再生履歴を他人に見せない裏技」

■Youtube動画をダウンロードする場合の著作権

Youtubeの公式サイトでは閲覧者がダウンロードする手段がありませんが、何らかの手段で動画をダウンロードすれば著作権を侵害してしまう可能性があります
違法アップロードではない、合法的にアップロードされた動画であればダウンロード行為は違法ではありません。公式のチャンネルや動画、そのほか他人の著作権を侵害していない動画等のダウンロードは合法です。

著作権法30条によると、

「著作権の目的となっている著作物は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用することを目的とするときは、・・・その使用する者が複製することができる」

とあり、ダウンロードすることは著作権法のうち、「複製権」にあたります。

個人が作った動画や音楽などで「市販されていないもの」等をダウンロードしても違法にはなりませんが、
販売または有料配信されている音楽や映像について、それが違法配信されたものであることを知りながらダウンロードする行為(違法ダウンロード)は刑罰の対象になります
とされています。

●関連記事:事例を紹介していますので、こちらも参考にしてください 「【事例付き】YouTube動画や音楽をPC上に保存するのは合法か違法か?」

■Youtube動画をシェアする場合の著作権

最近増えてきているのは、ダウンロードを経ないで自分のブログやサイトにシェアする形です。
「シェア」と一言でいっても、URLリンクを「貼り付ける」場合と、HTMLコードを利用して「埋め込む」場合があります。
URLリンクを「貼り付ける」行為自体は、特に著作権に関わることはありません。
埋め込みコード(HTMLコード)を利用して「埋め込む」場合は、自分のブログやサイトにあたかもその動画があるように見えてしまいます。HTMLコード自体は動画を作った人の著作物ではありませんので、著作権は侵害することにはなりません。
ユーザーとしては埋め込みコードを貼り付けたサイトで再生しているように見えますが、データの所在はシェア元のサーバーを利用しているので、送信可能化権を侵害しているわけではないのです。
もちろん、データの著作権を保有していない場合は、著作権者に許諾を得ることが必要だということです。

■Youtubeに動画をアップロードする場合の著作権

Youtubeに動画をアップロードする場合、
・制作したデータに他者の権利を侵害した部分が含まれないか
・違法ダウンロードしたものではないか
・楽曲の場合はJASRACの規定に違反しないか、等を確認する必要があります。

違法アップロードは、公衆送信権(送信可能化権)の侵害です。
公衆送信権とは「著作者が、著作物をさまざまなメディアで不特定多数の公衆に向けて送信する権利を独占できる」権利ですが、制作したデータに他の人が著作権を主張する部分が一部でも含まれたり、改変した部分があると、著作権者に許諾を求めたり、JASRACに申請が必要になります。

●関連記事: 「デジタル一眼カメラで撮影した動画をYouTubeに簡単にあげる方法【画面キャプチャ付】」

●参考資料 違法ダウンロードの刑事罰化についてのQ&A (平成24年7月24日 文化庁)
http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/download_qa/pdf/dl_qa_ver2.pdf ※著作権者に無断で音楽や映像をインターネットで配信すること(アップロードすること)、著作権侵害は犯罪であり、被害者である著作権者が告訴することで侵害者を処罰することができます(親告罪)。著作権、出版権、著作隣接権の侵害は、10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金、著作者人格権、実演家人格権の侵害などは、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金などが定められています。
※違法ダウンロードについては、被害者である著作権者からの告訴が必要な親告罪となっています。「私的使用の目的をもって、有償著作物等の著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、自らその事実を知りながら行って著作権又は著作隣接権を侵害した者に対し、2年以下の懲役若しくは 200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」(著作権法第119条第3項を新設)
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